夜間の咳と、肘、手首への施術

遅れましたが皆様あけましておめでとうございます。

年末年始、この仕事はいつも忙しく、またブログの更新をしないまま施術に没頭しておりました…

年末の忙しさをくぐり抜けたり、一段落ついた、という安堵感もあり、結構難病を発症する人が多発します。

今年は突発性難聴、ぎっくり腰、顔面神経痛などでした…

どれも一般的には大変な症状なので皆様のご参考までに施術内容や経過観察を書いていきたいのですが、
当院ではこのレベルの方が多すぎて、ルーティンワークです。

過去にも散々書きましたので、
今回は最近の中で個人的に思い出深かった(結構難しかった)症例を挙げてみます。

夏から腰痛の改善にお越しになっている方で、初期段階の集中的な施術で腰痛はほぼ改善。

ただ、毎週電車、飛行機での移動時間が長いため
(週2ペースで全国各地へランダムに一泊二日又は日帰り出張)
腰が落ち着いた後もメンテナンスで定期的にお越しでした。

腰が特に問題ない時は頭蓋への施術を集中的に行っていたところ、昨年0.3まで落ち込んで仮性近視状態になっていた視力が1.0を超えるまで急激に回復し、
検診医も驚いている、という連絡を頂いたりしておりました。
(疲労や頸椎の歪みで一時的に落ち込んだ視力が回復することは、頭蓋への施術ではよくあることです)

それはさておき、
ところが、12月に入った頃から、夜になると咳がひどくて眠れない。
腹筋、肋骨も咳による筋肉痛になり、眠れないことと相まって非常に辛いとのこと。

毎年この時期になる症状なので、早速かかりつけ医に行って咳止めを貰ってきたが、
大して効かない。
「整体とは関係ないんでしょうが、一応お伝えします」
と施術前に遠慮がちに話されました。

咳は原因が多岐に渡りますので、一概には何とも言えません。

癌を筆頭とした重大な疾患の前触れでもあるので、病院での検査は欠かせません。

しかしこの方の場合は毎年発生し、医者の検査も終わっているが、特に原因は不明。

対処療法として咳止めが処方されているが、あまり効かない。

こうなると、肉体の歪から来る咳=整体の出番 

である可能性もあります。

まずは、一番気になった&一番の狙い目である肋骨一番、二番付近の歪みを解除し、
この日は施術を終えました。

一週間後に聞いてみると結果は今ひとつで、軽くなった気はするものの
「咳が止まった」
という程ではない。

「整体は多分あまり関係ないと思うので気にしないで下さい」

と言われたのですが、ちょっと気になり、もう少し方々精査して見ました。

いやな感じがしたのは左手の手首と、肘。

肘はもう一つ伸びきらず、かつ内側に回転していて、力を抜くと手のひらが親指側に回転して行きます。

仰向けに大の字に寝て、手のひらを上にした状態で力を抜いても正常なら手のひらは大体上を向いたままなのですが、
この方の場合は親指側に回転して、手のひらがほぼ地面の方に向いてしまう。

また、手首も硬く、完全に背屈し切らない状態でした。

手首、肘付近には鍼の観点からも肺の経絡が通っており、


孔最(こうさい)、魚際(ぎょさい)など、咳への対応ツボも揃っています。

私も鍼師のはしくれですので、肘、手首の硬さと咳の関連を疑った訳です。

(その他手首への施術の重要性は繰り返し書いています→こちら←もご覧下さい)

まずPRTテクニックで肘、上腕の筋肉の張りを取り、

あとは関節の靱帯を、緩い力で牽引し、緩めていくという非常に地味だが有効なテクニックで、

肘と手首の動きを改善しました。

このテクニックは本当に地味で、肘に触っているだけにしか見えません。

実際、触っているだけですし、

受けている方も、肘を軽く捕まれているな、程度の感じしかないのですが、

実際はイメージなどで強力なアクションをかけており、
その緩み方は整体を受けるマニアでもある私の知っている限りの、あらゆるテクニックを超えます。

マニアとして客観的に見て、かなり凄いテクニックだと思います。

受け手は気がついた時には、まるで池の底にひきづり込まれるような(たとえが悪いか…)、
全身の力の抜けと、意識の飛びを味わうことになり、
あ、これは寝るかもしれない、と思ったときには多分熟睡しています。

しかし、一方で自分の寝息を聞いている自分はいて

「肘を持たれているだけなのに、なんで意識が飛んでいるんだ?」

と客観視して不思議がる自分を意識する人も少なくありません。

実際には熟睡ではなく、深い半覚醒状態つまり深い瞑想状態に近いと思いますが、
この感覚、テクニックともに説明が非常に難しいので、重要なところですが割愛しますm(_ _)m

話を戻しますと、この方も初めて3分くらいで完全に寝息になり、

肘、手首と解放している感、全く起きる気配がありませんでした。

術後は肘、手首が軽くなっただけではなく、肩こりも解消、鼻も通って、

いつものように頭蓋へのタッチをしていないのに、視力も上がって驚いていましたが、

咳がどうなったかは夜を待たなければわからないということで、施術はここで終了。

本日一週間ちょっとぶりにお越しなりましたが、

その日の施術以来、ピタッと咳が止まったととても驚いて居ました。

当たったようです。(もちろん、先に肋骨への施術効果がいまいちだったように、上手くいかないこともあります)

しかし、左手を完全に解放した結果、右手の重さが気になって仕方がない、とのことで、

咳への対応を万全にする意味も込めて今日は右手の肘、手首の解放を30分くらいかけて行いました。

左ほどではないですが、右も少々おかしかったので、施術中はやはり完全に寝た状態でした。

肘、手首にちょっと手を当てているだけの施術者と、

その横で大きな寝息を立てて熟睡している患者…

こんな図はあまり信じられないかもしれませんが、うちでは日常茶飯事です。

ところで、それなら肺経のツボを刺激すればいいか、

と思う方も居ると思いますが、よく週刊誌のコラムや、

テレビのコーナーで豆知識的にやっている様な、指や爪楊枝、ペン先程度の刺激では、

大体殆ど効きません。

ツボ自体が刺激されている感じはありますので、何となくいい感じはしますが、

それで実際に咳や鼻水が止まったり、肩こりが改善されたり、目が良く見えるようになった人はあんまり居ないんじゃないでしょうか。

じゃあ、鍼を刺せばいいか。

鍼を刺すと、指でグリグリやっていた苦労は何だったんだろうか、とびっくりするくらい効果が出ますが、

鍼は
「歪みそのものは治らない」

これは、私は自身が打ち、色々な名手の元で打たれしてきた結果、

これは断言できると思います。

歪みのない状態で、エネルギーの偏りを治すには抜群の効果がありますが、
(この様な状態の時は私も信頼できる鍼師の元によく通いますし、
患者様も紹介しています)

まともに歪んでしまった場合は効かないか、効いても回数がかかりすぎます。

歪みは、歪みを治すべき方法で治せば一発で治るわけで、鍼に固執する必要はありません。

今回の歪みも鍼は薬と同じで、
かなり腕のいい人が打ったとしても対処療法的にしか効果は出なかったと思いますし、
たとえ歪みの改善を視野に入れた鍼が打てたとしても、通院回数は週1回として三ヶ月~半年は絶対にかかると思います。

治療法も適材適所、これが重要です。


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