断食の効用2
断食の効用にはもう一つある。
「何処にも行かないこと」「何もしないこと」
である。
僕は典型的に色々な所に行きたがり、色々なことをしたがるタイプだが、
結局うわべの心を喜ばせているだけで、本質に何か影響のあることをしっかりしているか、
というとそれは自信が無い。
大量に押し寄せてくる情報に反応し、右往左往し、肉体を喜ばせているだけで、
後には何も残らないことも多い。
何処にも行かず、今ここに居て座っているだけだが充足している。
仏教ではこんな境地を尊ぶし、
東洋思想でも「自ら足を知る」こと、何もしなくても「自ら喜ぶ」ことはとても重要なこととされる。
一時的な快楽や満足を求めてさまよい歩くこと、が重要ではなく、
本質的な喜びを見いだすことが重要なのであり、その為にはむしろ歩みを止めなければならないこともある。
食べないことにより、出歩けない状態で、そんなことを思う時でもある。
旅行、イベント、食べ歩き。
現代人の楽しみを謳歌している自分であるが、時として一切放り出すと、
こういうことが実は何の意味もないことに気づく。
そして疲れの元だ。
地に足を付けて仕事をしている方がはるかに成長になり、実は疲れていないことに気づく。
臨済が昔、「瞬時たりとも人生の主人公でなければならない」
と説いたが、情報に追われて右往左往しているとき、僕は傀儡であり、主人公ではないかもしれない。
また旅行やイベントや食べ歩きにも行くだろうが、どこかで客観的に見ることが出来るようになる。
そしていつか、そんなことを一つもしなくても、
自ら楽しく生きられるようになれば最高だろうと思う。