鑑真とジェームスボンドが上陸した坊津
今回の指宿行きの目的の一つは、坊津の鑑真和上上陸地点に行くことにもあった。
以前バイクで枕崎までは行ったことがあるのだが、坊津は行かなかったのがずっと心残りだったので。
上陸地点は実際には行政区間は坊津であっても、秋目地区といって、坊津の港からさらに10キロ以上離れていた。
枕崎を過ぎた途端に道は一車線の、海岸の縁を縫うようにものになり、直線距離だと近いのに、なかなか近づけない。
やっと着いた秋目の小さな漁港を見下ろす高台に、鑑真和上上陸記念館がある。
ささやかなものだが、今となっては当時を偲ばせるものが何もない寂しい港なので、思いを馳せるよすがにはなる。
そして、もう一つ。
当時は100人を超す英国人中心のスタッフが滞在、ショーンコネリーは指宿のホテルに泊まってそこからヘリコプター通勤をしていたそうだ。
それは僕が訪れた30年間よりもっと前のことで、住民としては天地がひっくり返る程の大騒ぎだったことは想像に難くない。
何故007の監督が秋目の浦を選んだのか?鑑真の故事を知っていたのか?なかなか面白い組み合わせだと思う。
今でも超僻地の坊津秋目浦。
5回目の渡航でやっとたどり着いた鑑真和上、現代人としてはここからどうやって、
エンジンも電気もない時代に奈良まで行ったのか見当もつかないが、
坊津から奈良までの道中について、大した記録が残っていないところをみると、
この当時の人にとっては、日本国内についてしまえば、鹿児島から奈良に行くのはたいした冒険ではなかったのだろう。