☆腎の弱体化と対応について・頻尿。重い腰痛。手足の冷え、体が重い… 等々☆

寒くなってくると増えるのが腰痛で、うちも腰痛患者が増えて最近は腰痛ばっかりやってます。本当に季節によって施術傾向が変わります。

ただ、腰痛にも色々あって、モノを持ち上げようとした時に分かりやすく「バキッ」ときて、ちょっと動くと悶絶してしまうタイプもあれば、一日中腰に鉛のベルトを巻き付けたようなおもだるい鈍痛が続く場合と二通りあります。

前者は全く動けないので寝ているしかない。寝ているととりあえず治る「一過性」の場合が多いのですが(根本的には治ってはいないのだが)、後者はなかなか治らない。なまじ出勤したり、仕事したりは出来てしまうので無理をしているうちに悪化して長引く場合もあります。医者に行ってもあまり治らない。

こういう時に疑わしいのは内臓の機能低下と内臓の硬化です。様々な内臓がこの上体になり、鈍い腰痛を引き起こしますが、今日は一番疑わしい腎臓の話をしておきます。

腎臓は普段あまり気にすることがない臓器です。
胃や心臓、膀胱のようにありありと存在を感じることもないですし、キリキリと痛むこともありません。
西洋医学的には、時々やる尿検査で意識するくらいですが、東洋医学では総てのパワーの源と位置付けこれを非常に重要視します。

腎のパワーが落ちると、動きも悪くなり、腹膜後部に潜り込んだようになると重い腰痛を引き起こします。
パワーの源ですから、顔色が悪くなり、疲れやすく、腰だけでなく体全体が重くなる。
足なんか特に重い。

全体的に本当に落ち込みます。ただ、この腎のパワー＝東洋医学で言うところの腎気は、解剖したら存在するものではないので、西洋医学にはない、東洋医学独自の概念です。

黙々と血液から尿を濾しとる装置というのが西洋医学での位置付けですが、東洋医学ではそれだけではなく、人間を駆動する気の元＝元気がここに蓄えられている最重要臓器と位置付けます。

そして、それは先人の経験的に本当に当たっており、腎が弱ると本当に全体的にダメになります。

東洋医学にベースを置く気功を習った方は分かると想いますが、気功の動きの中には「腎臓の付近を動かす」「腎を活性化させる」動きがやたら出てきます。
他の臓器とは比較になりません。それだけ、腎臓を刺激したり、腎臓の付近を柔軟に保つことが重要視されているわけです。

ところで、腎気には二種類あって腎の陽気と、腎の陰気がそれです。全ての臓器において陽気と陰気を考えます。

たとえば腎気が全部で100が基本とした場合、腎陽気50、腎陰気50でイーブンだととても健康です。
陽と陰のバランスが肝要で、どっちかが強くなるとよろしくない。
例えば腎陽気が強くなり陽気と陰気の差が20発生し、陽気が20多くなったとします。
これには実は様々なパターンがあります。

①腎陽気70、腎陰気50(そのまま)、全体120。
これはどうでしょう。
元気そうでいいですが、元気過ぎておかしくなってきます。

②次に腎陽気60、腎陰気40、全体100(そのまま)。
こういうのもあります。

③更に腎陽気50(そのまま)、腎陰気30、全体80
こういうパターンも。

実際には①はあまり問題にならず、問題になるのは②、③のパターンで、バランスが崩れた上に全体的に足らない③は素人目にもあまり良くないのが分かるでしょう。
③になるとフラフラ。体は重く足も引きずるほど重い。
手足は冷える。
しかし、陽が勝っているので上半身は火照り、顔汗ばかりかいたりします。

②、③のような状態を腎陰虚(じんいんきょ)といい、内臓不全の中では全体的な辛さが強く出る傾向があります。

反対に陽が弱くなったものを腎陽虚といい、これは陰が勝つので体の重さがより目立ち、足も冷えます。
そして顕著な現象が尿の回数、量の異常。

頻尿、夜間尿＋足の冷えは大体これです。
頻尿じゃなくて、尿がでなくなることも。
あとは耳鳴り、毛がパサパサになる、歯が弱くなるなどの症状が出るとされます。

夜間尿の相談は女性の患者さんからとてもよく聞きます。
膀胱炎などを疑って抗生物質など飲んでも今一つ効かないです。体全体のバランスの話なので出てきた炎症を抑えるだけの対処療法で治すのは難しい。
頻尿、夜間尿に冷えがあったらまず腎陽虚を疑ってみるといいと思います。

漢方薬屋、鍼灸院に行ければいいですがこの症状については漢方の特効薬があります。
腎陽虚の場合は八味地黄丸、腎陰虚の場合は六味丸。
いずれもブレンドされた完成された漢方薬です。

特に腎陽虚の症状は多いため、八味地黄丸は恐らくどの薬局に行っても置いてあります。
一週間で千円ほどで試せる量から売っているので、とりあえずは医者に行って処方してもらうよりこの方が手軽でしょう。

上手くはまれば驚くほど効きます。
その他、鍼灸院では腎臓系統のツボから気を注入したりします。
私の場合は、腎臓に手を当て、軽く圧迫して動きを促しながらダイレクトにパワーを注入します。
結構やる施術なので、受けた人も多いんじゃないでしょうか。
初めだけ腎臓をぐっと持ち上げる時に鈍痛とえもいわれぬ圧迫感を感じますが、暫くするとスーッと痛みが引いてきて、その瞬間に寝落ちしてしまうやつです。

自分ではこれが一番即効性もあるし、効果が高いと思っていますが、八味地黄丸などと組み合わせてもいいと思います。