日々の施術9 高齢男性の座骨神経痛

☆座骨神経痛的症状


男性70代

☆症状


今年に入ってから、左腰~膝裏まで痛む。

じっとしていると特に痛くないが、暫く寝て、起きるときに痛くて時間がかかる。

夜間に二回ほど尿意を感じて起きるが、その時トイレに行くまでに非常に時間がかかり、睡眠が妨げられるのことに参っている。

朝も痛いが、暫く動いて居ると動けるようになり、昼間の活動には重要な支障はないが、10分以上歩くと痛い。


☆施術


とりあえず、エネルギー施術を試みるが、肩が多少柔らかくなった程度で、問題の解決にはあまり役に立たない。

実際に触ると、腰椎4~5にかけてが酷く歪んでいる上に硬くなっている。

右の仙腸関節にも難あり。

動きは非常に鈍く、靴を脱ぐのに1分近くかかり、階段も足を交互に出して上がれない。

夜間痛を患者さんは主訴としており、昼間は大丈夫だと言ってはいるが、実際はかなり悪いと見て取った。

こういう動きは徐々に悪くなるので、本人も悪化していることに案外気付かないことも多い。

施術中も、ベッドで仰向け、うつ伏せの動作に移行したりするときに、非常に時間がかかる。

施術では、腰椎、仙腸関節の辺りをまずは一通り、リリースしたり整えたりする施術を立て続けに二回行なった。

まあまあ良くなったが、相変わらず夜辛いそうだ。

3回目は、鼠径靭帯、下腹内臓の硬化、腎臓の硬化に注目して、ここに手を当てて患者さんの自然治癒力を引き出しながらゆっくりと柔らかくしていく。

この施術は大分効いたようで、初めの1、2回で3割改善したが、3回目の施術で5~6割改善した気がするとのこと。

発症したのは今年の初めで、まだ日が浅いように思われるが、単にその人の感覚的な「我慢の限界閾値」を越えたのが今年初頭だっただけで、ズッと以前から異常があったことは、このカチカチな腰椎周りの筋肉が物語っている。

三回で5~6割の改善と苦戦だが、70代でこれまでノーメンテナンスで重篤な自覚症状を発症すると、パッと治すのはかなり難しい。

今回は4回目。再び、膀胱、鼠径靭帯。

1、2回目もこの辺りが気にはなっていたが、カチカチの板のようで、どうしようもなかった。3回目からやっと指が入るようになったのだ。

施術は指を軽く当てているだけなのだが、施術していると「もの凄く効く。ここが諸悪の根源だとう感じが強くする。

やっと、ここが悪いんだ、という場所が見つかった」と言い、更にこの部位への施術を希望する。

マッサージではないので、患者さんの体感的な希望に沿った施術を行うとは限らないのだが、今回に関しては、私の感覚と患者さんの感覚が一致しているので、膀胱を丁寧に柔らかくしていく。

指を当てているだけなのだが、グーッと柔らかくなる瞬間が三回ほどあり、その度に

「うーん、効いている。凄い」

とうめき声を上げている。

膀胱を柔らかくする?何?と思うかもしれないが、この臓器の不調、硬化は全身に影響を及ぼす。

逆もしかりで、全身の不調を膀胱が拾うこともよくある。

鍼で使用する「経絡」の一つに、膀胱を中心とする膀胱経がある。

これは、膀胱を中心としたエネルギーの流れるラインと、そのエネルギーが所々で吹き出るツボを中国人が経験的にまとめあげたもので、全国の鍼灸院でももちろんこの概念を使用して治療している。

この経絡を見ると、ふくらはぎ~モモ裏~背骨の両脇~首の後ろ~後頭部~頭頂部~目
と膀胱の影響が及ぶの見て取れる。

そしてこの走行は正しく、膀胱の異常を取ると、ふくらはぎが柔らかくなり、後頭部も和らぐ。

私も頭蓋の施術をするにあたり、後頭部が余りにも張っている人は、まず膀胱の邪気をワンドで抜いたり、それでもダメな場合は膀胱にアプローチしてこれを柔らかくして、後頭部の柔軟性を引き出している。

今度施術の時に施術手順に注目して貰えたらと思う。ただし、起きていられたら、の話だけれど。

膀胱の不調からくる腰痛も多く、夜間の腰痛は恐らくかなりの割合で膀胱の不調が絡んでいると思う。夜間頻尿もそうだ。

今回は、八味地黄丸を薬局で買って飲んでみることもお勧めして終了となった。

とりあえず、施術室への階段の上り下りは手すりを摑まなくてもスムーズに出来るようになったし、当初出来なかった立ったままでの靴履きも出来るようになった。

ぱっと見普通の状態になったので「動きがよくなりましたね」と問いかけてみたが

「そうなんですかね?」

とあまり分からない様子。

60代~70代の男性は、自分の体の変化に非常に無頓着な人が多い。

よくあることである。

体調に無頓着で、痛いか痛くないか、くらいの判断基準しか持っていないので、痛くなったときは既に重症であることが多い。

高齢のご両親をお持ちの方は、本人の意見だけではなく、ご自身の目で階段の上り下り、靴の脱ぎ履き、寝たり起きたりの動作のスムーズさを時々確認することをお勧めする。

これらの動きは「見慣れた動き」なので、素人でも十分に「異常があるかないか」の判断はつくはずである。

さて、来週は5回目。そろそろ症状7~8割減くらいにならないかな。

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