日々の施術14 ☆ 顎関節症
☆顎関節症
☆女性
☆症状
数ヶ月前、突然顎が空かなくなる。暫くはうどんを、一本ずつすする。無理に口を開こうとすると、痛くて涙がボロボロ出る。
医者でステロイド治療を受け、ややよくなる(レントゲン等の検査では顕著な異常なし)。
しかし、頭打ちになったため、歯科医に行き、歯並びの矯正、最終的には顎関節の手術を勧められる。
手術はいやなので、とりえあえずそれ以外の方向を探ってみようと、知り合いの紹介で来院。
☆施術
この症例はいくつもしている。直接的には頸椎2,3の異常。さらに拡大すると、やはり腰椎や骨盤の異常。
これにストレスが加わると発症することが多いようだ。
ワンドで負のエネルギーを取り、頸椎の異常を取れば大体治る。今回も手順通り、10分くらいでほぼ7割治った。
具体的には顎がスムーズに開く。その際、カクッと段がついたような動きが減り、ポキッという音がしていたのがなくなる。
あとは、段のついた動きが減り、可動域は正常化したが、まだ口を全開にする時にやや抵抗があるので、これが正常化すればいい。
最後の3割のツメが、どの症状もそうだが、ちょっと時間がかかる。
7割改善したのを確認したが、まだ施術枠の時間は残っている。更なる改善に向けて取り組む。
理論的に取り組んで7割の改善だったので、あとは直感に切り替える。
鍼灸師になるための受験は、国家資格だけあってなかなかハードで、筋肉も働き、付着部位、支配神経などを一つ一つ覚えさせられる。
これらの勉強を通して、自分の見立て、検査、施術の理論的な組み立ては飛躍的にアップしたが、理詰めでは到達できないこともある。
現在の医学的理論では全く分からないこは実はとても多い。
現代医学以外は医療として認めないと頑張っている人は、本当に気の毒だと思う。
我々が知り得たことは、この世の中のほんの一部にしかすぎない。
ただ、自分は、はなから理論的思考を放棄し、ろくに勉強しないで、全て霊だとか、妖精だとか、言っているのも嫌いだ。
いやいや、散々霊的な話をしているだろう、と言われるかもしれないが、これは実際に治り、人助けになると思っているから言っているわけで、好きで言っているわけでもないし、人に見えないものが見えるとマウンティングしているわけでもない。
現実には根拠のない健康論などなどを振り回す人がとても嫌いだ。
凄く勉強した、とか言っても、大体ネット記事の受け売りだったり、数冊の本の内容を上手く組み合わせただけで、本当にどうでもいいものが多い。
桑嶋先生とこの人、話が合うと思うよ、と紹介されるスピリチュアル系の人とは大体話が合わない。
中身も根拠も、実績もなく、ただその気になって語っているだけの人が多いから。
きちんと国家免許レベルで勉強して、理論がないとダメだと思っている。
しかし、施術となると別で、理論は半分必要で、半分必要ない。
理論的に考えて施術を始める。ここで結構治る。
しかし、最後までは治らない。
なぜなら現在の理論自体が世界の全てを網羅していないからだ。
だから、途中から理論を使わない。
頭も使わない。
自分は何もしない。頑張らない。なるがままに任せる。
そうすると、直感が冴えて、進むべき方向が見えてきて、治癒は自動的に起こる。
思いもしなかった素晴らしいことが起こる。
ここで難しいのは、本当に忘れて任せきることで、少しでも「こうすべきではないか」という疑念や、意思が残っていると上手く行かない。
しかし、もう一度書くが、
「こうすべきではないか」
という理論的に裏付けのもとに、施術を始めないと、一定の効果が出るまでに非常に時間がかかる。
時間がかかるだけならいいが、場合によっては患者さんの体をより壊してしまうこともある。
西洋医学医には間違いなく限界があるが、とても良い面も沢山ある。
きちんと勉強すべきことは勉強して、利用すべきことは利用すべきだと思っている。
本当に、本当にごく一分の天賦の才能を持つ人=真の天才は、一切の医学的な勉強なしに人を治すことが出来る。
それは事実だ。
しかし、私を含む多くの凡人にはそんなことはできないので、まず必要なのは理論と知識。
これを得なければならない。
これを得る努力をしていない人、努力をしたと言ってもちょっとしたセミナーに出て、本を読んだくらいの人は相手にはしたくない。
しかし、その理論を越えたところに人間の体の仕組み、健康はあるので、ある一定のラインから先は理論にしがみつかないことも重要で、これができない人、現在の科学や医学原理主義者とも話が合わない。
何とも難しいバランスに上にあるが、分かる人には分かって貰えるだろう。
昔、芭蕉は俳句の極意を
「高く悟って俗に還る」
と表現したが、私はいつも施術や、日常生活にあって、この言葉を噛みしめている。